算数の効果的な勉強方法について、
入試模擬テストの作成や問題集の出版にも携わっている塾講師がまとめてみました。
(1)用意するもの
(2)計算力のつけかた
(3)学習の進め方
用 意 す る も の
1)解き方・考え方がくわしく説明されている受験用参考書1冊
2)計算問題集1冊と総合問題集1冊
- 7~8割正解できるレベルのものから始めましょう。易しすぎるとやる気も効果も出ませんし、難しすぎると自信を無くし有害になることさえあります。学力を上げるうえで最も重要なのは、理解や習熟が不十分な内容を見つけ出しそれらを1つ1つ克服していくことです。このことからも、少し頑張れば乗り越えられるレベルから始めることをおすすめします。
- 2冊目は1冊目を仕上げてから取り掛かるようにしましょう
3)解くときに使うノート
- ノートに解いていきます。書き込み式の問題集であっても問題集に書き込んではいけません。補助線をひいて解く図形の問題が「再チャレンジすべき問題」であったとき、補助線が書き込まれていたのでは再チャレンジの意味がなくなってしまいます。また、ごちゃごちゃ書き込んであると解き直す意欲も湧きにくいのではないでしょうか。
- 問題を書き写すのは時間の無駄(計算問題は別)ですが、答えを導き出すのに使った図・表・式などはすべて丁寧に書いていきましょう。
- 時間は気にせず丁寧に書いていきましょう。解くスピードは解き慣れることでつけていきます。解いたことがあり解き方がすぐに浮かんでくる問題は速く解けます。算数における解くスピードとは、解き方が浮かんでくるまでの時間の長短のことであると考えます。
- 初歩的なことですが、どの問題なのかがすぐわかるようにしておきましょう。
4)まちがい直し用ノート
- 「再チャレンジすべき問題」の解き方・考え方や注意点などを自分なりにまとめ、その類題を解いていくのに使います。
- 「再チャレンジすべき問題」とは、答えを書けなかった問題(無答問題)、答えは書いたがまちがえた問題(誤答問題)、正解はしたが時間がかかったり解き方に自信が持てない問題(答えは合っていたが・・・問題)のことです。
- 学力アップは、このまちがい直し用ノートの内容にかかっている と言っても言い過ぎではありません。下記<学習の進め方>を参考に、このノートが“宝物”となるよう全力で取り組んでください。
5)過去問題集(志望校が絞られている場合)
- まずは、解くためにではなく出題傾向を把握するために必要です。
- 試験に出ない内容に時間をかけているケースをよく見かけます。無駄とは言いませが、もったいないです。より効率的な受験勉強をするためには、まず、受験校の出題傾向を把握しておくことが必要です。
- 過去問に取りかかるのは、小6の夏休み中に出題範囲を一通り仕上げておいて二学期から、が理想的です。
計 算 に つ い て
計算力は、計算問題だけでなく文章題や図形問題を解くときにも必要で、これを身につけていなければ算数での高得点は望めません。
計算力をつけていくには、『短時間、集中、毎日』を合言葉に練習あるのみです。
下記<学習の進め方>を参考に取り組んでいってください。
先取り学習が支障なくできる内容なので、余裕があればどんどん先に進みましょう。
小5の二学期が始まるまでに小学校で習う計算を一通り仕上げておくと、その後の学習をスムーズに進めることができます。
計算には、正確さだけでなくスピードも求められます。
しかし、速く解こうとしてはいけません。
あくまで正確さを追求し、丁寧に解いていってください。
スピードは、解き慣れることでついていきます。
逆に言えば、スピードがつくまで解き慣れねばなりません。
学 習 の 進 め 方
1 問題を解く
- 得意な内容なら問題集の問題、不得意な内容なら参考書の例題を解きます。
- 問題文を読んで解き方が浮かぶときは、ノートに、答えを導き出すのに使った図・表・式などすべて丁寧に書いていきます。時間は気にしません。スピードは解き慣れることでつけていきます。
- 問題文を読んで解き方が浮かばないときは、問題番号に鉛筆で印をつけてから次の問題に進みます。
2 答え合わせ
- その日予定していた内容を終えたら、すぐ答え合わせをし、まちがえていた問題には鉛筆で印をつけます。
- 答えは書き写しません。答えを書き写してまちがい直しができた、と勘違いしている人を時々見かけます。
3 答え合わせ直後の学習 <重要>
答え合わせ直後の学習について、次の4つの場合に分けて書いていきます。
- 3-1 スムーズに解けたとき
- 3-2 正解はしたが時間がかかったり解き方に自信がもてないとき
- 3-3 書いた答えがまちがっていたとき
- 3-4 問題に手を付けられなかったとき
3-1 スムーズに解けたとき
- 自分の解き方と解答・解説で示されている解き方を丁寧に見比べます。もっとミスの少ない解き方・もっと簡単な解き方・もっとスッキリした考え方が示されているかもしれません。
- 改善点等があれば、ノートの解いたところに書き加え、問題番号に鉛筆で“再チャレンジ印”をつけておきます。
3-2 正解はしたが時間がかかったり解き方に自信がもてないとき
- 問題番号に鉛筆で“再チャレンジ印”をつけておきます。
- 解答・解説で示されている解き方と自分の解き方を見比べ、解き方を変えるのか変えないのか、変えるならどこをどう変えるのか、今後の注意点は何か、じっくり見極めてください。
- 改善点等があれば、ノートの解いたところに書き加えておきます。
3-3 書いた答えがまちがっていたとき
- 問題番号に鉛筆で“再チャレンジ印”をつけておきます。
- 解答・解説を見ないで、自力で解き直します。
- 解き直しで解けた場合は、解答・解説で示されている解き方と自分の解き方を見比べ、「どこでどのようにしてまちがえたのか」を見つけ出し、ノートの解いたところに書き加えます。
- このまちがい直し学習は特に重要です。学力をより確実なものにするとともにミスを減らしていくことができます。
- なお、解答・解説で示されている解き方・考え方が今一つ理解できないときは、必ず 参考書 の解説を読んでください。
- 解き直しで解けなかった場合は、下の2-4と同様にその後の学習を進めていきましょう。
3-4 問題に手を付けることができなかったとき
- 問題番号に鉛筆で“再チャレンジ印”をつけておきます。
- 参考書 の該当箇所を広げ、解説等をしっかり読んで、解き方・考え方や注意点などを自分なりにノートにまとめます(決して書き写してはいけません)。
- 参考書 にある類題を解いて、解き方・考え方をより定着させておきます。
4 再チャレンジ、再々チャレンジ、・・・
- 2~3週間空けて、印をつけた問題に再チャレンジします。
- それで完璧に解けた場合は、問題集から印を消します。
- まちがえたり、正解はしたが時間がかかったり解き方に自信がもてなかったりする場合は、印はそのままにしておき、また時間を空けて再々チャレンジします。
- 印をすべて消し去るまでその問題集を繰り返し解き直していけば、まちがいなく学力はアップしています。
5 2冊目の問題集へ
- 1冊目を完璧に仕上げてから取り掛かるようにしましょう。
- 1冊目より少しだけレベルを上げ、上の1~4の手順で取り組みます。
以上を1つのたたき台として、お子様にとってより有効な学習方法を見つけ出していただければ幸いです。